先に結論。追い出すだけでは終わらない
天井裏で音がしている状態から、何をすればいいかを書きます。
作業は3つの工程に分かれます。
「追い出し・捕獲」「清掃・消毒」「侵入口の封鎖」です。
封鎖をしなければ再発します。
そして天井裏は、この3つのうち後ろ2つが難しい場所です。
見えない、届かない、足場がない。
途中で止まりやすいのは、そのためです。
順番としては、まず音の正体を確かめて、次に侵入口を探します。
捕まえるのは、そのあとです。
ネズミ全体の話はネズミの見分け方と駆除にまとめています。
その音、本当にネズミですか
ここを飛ばすと、やることがまるで変わってしまいます。
足音の重さで分かること
判断材料になるのは、体の大きさの差です。
ネズミの体長は、種類によって約6センチから26センチです。
ハツカネズミが約6〜9センチ、ドブネズミが22〜26センチとされています。
一方、ハクビシンは体重が約3キロあります。
ニホンイタチのオスは体重290〜650グラムです。
ホンドテンは、資料により約900グラムから1.5キロとされています。
体格にこれだけ差があるので、音の印象も変わる場合があります。
ただし、音の重さと種類の対応を示す出典は確認できていません。
重い音がしたからネズミではない、と決めつけないでください。
フンの大きさや足跡と合わせて確認してください。
かじる音がする場合
カリカリ、ガリガリと聞こえる場合です。
ネズミは前歯が伸び続けるため、配線や柱をかじります。
これは足音ではなく、かじる音です。
音の種類が違うので、聞き分けられることがあります。
羽ばたく音がする場合
前橋市は、アブラコウモリについて「キー・キー鳴く」「バタバタと飛ぶ羽音がうるさい」と案内しています。
コウモリだった場合、対処がまるで変わります。
鳥獣保護管理法の対象で、捕獲・殺傷はできません。
追い出しと侵入口の封鎖で対応することになります。
ただし、冬眠期(おおむね12〜3月)は追い出しができないため、作業できる時期が限られます。
動物ではない場合
これも珍しくありません。
住まいるダイヤルによると、木造住宅では木材の乾燥による軋み音が生じることがあります。
冬の乾燥時や、天井裏と室内の温度差が大きい時です。
この音は数年にわたり続くことがあり、必ずしも施工上の瑕疵ではないとされています。
マンションの場合は、給排水管のウォーターハンマー音や、ポンプ・エレベーターの振動が伝わる例も報告されています。
天井のシミについても、雨漏りではなく結露が原因の場合があります。
住まいるダイヤルは国土交通大臣指定の住宅相談窓口で、無料で相談できます。
駆除業者に連絡する前に、この可能性を一度消しておいてください。
音から候補を絞る手順は屋根裏で音がするにまとめています。
天井裏にいるのはどのネズミか
ネズミだと分かった場合、次は種類です。
東京都保健医療局は、クマネズミが天井裏、壁の中、ビル内部の高い所に住みつきやすいとしています。
つまり、天井裏で音がしているならクマネズミである場合が多いということです。
クマネズミは運動能力が高い種です。
東京都は、電線を伝い、粗面の壁を駆け上がるなど立体的に動き、警戒心が高い場合が多いとしています。
一方、ドブネズミは下水管・下水溝、植込み、ビル低層階に生息する場合が多いとされています。
床下や水まわりで気配がある場合は、こちらの可能性があります。
見分けの決め手は尾と耳です。
西宮市によると、クマネズミは尾が胴より長く、耳が大きく、前に倒すと目に届きます。
ドブネズミは尾が胴よりやや短く、耳が小さく、前に倒しても目に届きません。
どこから入っているか
天井裏にいるということは、そこまでの経路があるということです。
東京都は、クマネズミが1.25センチ以上の隙間を通り抜けられるとしています。
墨田区は1〜2センチ程度、江東区は約1.5センチ以上としています。
探し方の手がかりになるのがラットサインです。
東京都保健医療局によると、ラットサインとは、通り道に体の脂と汚れが付いてできる黒光りしたこすり跡のことです。
墨田区は、常に出入りしている穴の縁には、黒く薄汚れたラットサインが見られる場合が多いとしています。
黒ずんだ跡がある隙間が、いま使われている入口です。
天井裏に上がれる場合は、点検口のまわりから順に見てください。
自分でできること
餌を断つ
東京都保健医療局は、餌になるものの管理を防除の基本としています。
台所の食材や生ごみ、ペットフード、花瓶の花などが対象です。
毒餌を使う場合、近くにおいしい食べ物があると食べないため、先に片づける必要があるとされています。
毒餌には誤食への備えも要ります。
東京都は、ペットや子供がいる場合、段ボール箱の両面に穴を開けて中に配置するなどの対策を案内しています。
ねずみがいなくなれば速やかに回収することが重要とされています。
粘着シートを置く
通路全体に複数枚を並べ、最低3日間は配置を変えないことが推奨されています。
ラットサインで通り道を特定してから並べてください。
侵入口をふさぐ
塞ぐのは、捕獲や追い出しが済んだことを確認してからにしてください。
中にいる状態で出入口を塞ぐと、閉じ込めることになります。
天井裏で死んでしまえば、悪臭と汚染はかえって深刻になります。
資材については、公的機関が具体的に案内しています。
東京都保健医療局は、金属タワシや亀甲金網などの材料が有効としています。
江東区は、金タワシ、目の細かい金網、パテ等を案内しています。
案内されている資材には、金属を使ったものが多く含まれます。
かじられやすい材料だけで塞がないこと、と考えてください。
天井裏の作業が難しい理由
ここは正直に書いておきます。
天井裏は足場がなく、姿勢の悪い作業になります。
点検口があっても、中が狭くて移動できない場合があります。
そもそも点検口が無い家もあります。
フンが溜まっている場合は、清掃と消毒も姿勢の悪い場所での作業になります。
危険だから業者へ、と言いたいわけではありません。
できる範囲とできない範囲を、先に分けておいてほしいということです。
どこから業者に任せるか
判断の目安を3つ挙げます。
ひとつめは、ラットサインを探しても侵入口が特定できないときです。
隠れた経路があり、塞いでも別の場所から入られます。
ふたつめは、天井裏に上がる必要があるときです。
足場と姿勢の問題があり、装備がないと難しい作業です。
みっつめは、繰り返し再発しているときです。
塞いだはずなのに戻るなら、塞ぎ方か、塞いだ場所が違っています。
金額を左右するのは、主に封鎖する箇所の数と、その場所へ届くかどうかです。
このサイトでは、費用の相場を一つの金額で示すことはしていません。
現地を見ないと決まらないものを、見ずに書くことになるからです。
何が金額を動かすのかは費用の考え方にまとめました。
見積書のどこを見るかはいい業者の見つけ方にあります。
賃貸・アパート・マンションの場合
ご自宅が持ち家でない場合、先にすることがあります。
費用の負担は、管理会社または貸主との取り決めによります。
先に業者を手配してしまうと、あとで精算できない場合があります。
作業を頼む前に、管理会社へ連絡してください。
天井裏に手を入れる作業は、建物そのものに関わります。
その意味でも、一報を入れておいたほうが進めやすくなります。
建物を管理されている立場であれば、決まりがあります。
建築物衛生法施行規則では、ねずみ等の防除を6か月以内ごとに1回実施することが定められています。
東京都健康安全研究センターによると、都の指導基準では、生息状況等の点検を毎月1回以上実施することとされています。
毎月の点検で生息が認められなければ、薬剤散布による駆除は不要とされています。
自治体でもらえるもの
保健所が窓口になっている自治体があります。
確認できた運用を、自治体名つきで挙げます。
新宿区保健所は、粘着シートのサンプルを1人1回まで、殺そ剤サンプルを1人1袋まで無料配布しています。
ただし、区による駆除作業は行っていません。
大田区は保健所の窓口で殺そ剤を配布し、捕獲用カゴを区民に1か月単位で貸し出しています。
江東区の保健所は、相談者に必要に応じて殺そ剤を窓口で配布しています。
台東保健所は、屋内用・屋外用のねずみ対策パンフレットを窓口で配布しています。
同じ東京23区でも、行っていることは一つずつ違います。
制度の有無と条件は市区町村ごとに異なり、年度で変わることもあります。
お住まいの自治体については、自治体の制度から確認してください。
音や超音波で追い出せるのかについては、ネズミが嫌がる音は効くのかで扱っています。